女患者の喉元のリンパを打診する医師の手が、胸部に降りてくると乳房は波打ち揺れた。やがて、医師の触診が乳輪周辺に及び、時々指先が乳頭に触れると患者の身体は硬直する。聴診器が乳房を変形するかのように押し当てられた。その冷たい感触は患者にとって切なかった。それを見つめる、患者と同世代と思しき複数の研修医達の目は勉学に勤しむというよりむしろ好奇心、性的関心のほうが顕著だ。医師が執拗に触診をすると、患者はいやがおうにも硬くなる乳首を恥じた。やがて、それが刺激となり全身を駆け巡る。そしてもれる吐息。乳頭の分泌物検査ということで、乳首をこねくられると、屈辱に身をよじる患者。しかし、この羞恥にもかかわらず「濡れる」自分に気づいた。患者はこれが「女」の通常の生理現象だと知りながらも、この羞恥と性感のはざまに目に涙をうかべ嗚咽をあげるのだった。
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