時は、平安時代末期。相次ぐ天変地異と原因不明の疫病によって、民衆たちは苦しめられていた。陰陽師である輪道と弟子の蓮は、荒廃した羅生門をくぐる。そこには百姓の伊吉たち、そして餓鬼のような容貌の女おてい(範田紗々)がいた。…かつて、おていは夜鷹として肉体を売って暮らしていた。おていと同じ村の出身のまつ(しじみ)は、売れっ子の遊女。しかし、まつは疫病で倒れ、故郷に帰ろうとする二人は羅生門に逃げ込んだのだった。飢えに苦しむまつは、遂に死体の肉さえも喰らおうとする…。…伊吉にも、悲しい過去があった。生まれ育った村を飛び出して盗人として過ごしていた伊作は、とき(つくし)とに出会う。強引に彼女を抱いて身ごもらせ、二人は所帯を持つ。ささやかなその幸福も、長くは続かなかった。この世の地獄で、人々は醜い本性をあらわにしていく…。
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