心が折られて、もうAV辞めようかとすら思った前作から2年。ついにあの地獄のキモ男密着ドキュメントが復活!実は2022年の春に撮影されてはいたものの諸事情まみれで1年以上もリリースが難航した問題作(いつもこんなこと言ってるけど)。結句、撮影時にはデビュー3カ月で100本弱のリリースを誇った「驚異の新人」という女優の二つ名からタイムリーさが抜けてしまったり、追加撮影のトラブル中にAV新法の波にのまれて色々な事が中止になった、いわく付きどころかほぼ事故物件。今作のテーマは女優の格。単体、キカタン、企画といわれるヒエラルキーやファンビジネスを巡る女優の精神的な立ち振る舞いにも迫る。元単体女優とキカタン女優の上下関係からくるトラブルを発端に始まった今回の撮影は関係者のインタビューを交え、キモメンデブ男とのキッスつき公園デート、口移しのお食事、連続イラマチオ、真正中出しと玉屋レーベルのフルコースへと繋がり女優の内面を映し出す。ただ、この作品の本当の結末が分かるのは5年後なのだろう。彼女にとって、これが表現だったのか有名になるための身売りだったのか、その頃には答えが出ているはずだ。元AV関係者という肩書さえ手に入れてしまえば、食っていくための目も当てられない選択肢は山ほどあるし、今や誰もがファンサイトでせっせとオナニーを披露する時代になった。囲ったファンにエロ写真を売りつけてさえいれば引退後も安泰だ。まるで携帯に初めてカメラが付いた時にはびこったパンチラ動画を売りさばくタイプの援交のようで、そのどれもこれもがAVと呼ばれるのならば「AV堕ち」という言葉の重みは増してくる。裸になるだけで知名度が手に入るAV界で蟲毒に巻き込まれ、名声欲に飢えた刺激物となるのか、表現者でいられるのか、品性と秘密と嘘を換金しながら生き永らえる「元AV関係者」になるのか。5年後10年後アダルトビデオに価値は残っているのか。それを我々も知りたいと思う。
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