そぼ降る雨の滴に照らされて咲き誇る紫陽花が眩しい季節がやってきた。たった、二ヵ月程前の事なのに、彼女との淡い記憶は、もはや思い出の壱頁になろうとしている。純粋無垢のまま社会へ羽ばたいて行こうとした彼女に、大人の垢をつけようと立ち止まらせた私であった。ところが…無垢さの裏側にある貪欲な色香に思わずたじろぐ私。自ら腰をくねらせ、真ん丸の尻を押し付けて来る仕草は、もはや立派な女の佇まいそのものであったのだ…。


卒業 其ノ六


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